水頭症

水頭症

担当

大澤弘勝

「良くなる認知症」
あります。

普段なじみの薄い病名ではありますが、実はあたまの病気のなかで数が多い「水頭症」というものがあります。さまざまな原因で、頭の中に水(髄液)が溜まってしまうことでひき起こされます(1)

引用(1) aが脳室の大きさです。a/b0.3を超えると水頭症を疑います。

症状

2010年代ごろから、歩きにくさ、認知機能低下、トイレに間に合わない、など、ご高齢の方に多く見られる症状の原因として注目されています。進行は比較的ゆっくりで、数か月単位で症状が進んでくることが多く、アルツハイマー型認知症など、認知機能低下をきたすほかの病気と区別が難しいことがあります。頭の中の圧力が急に上がることは少ないことから、正常圧水頭症と呼ばれています。

診断

 診断は、診察、画像検査、タップテストで行います。タップテストとは、背中の腰椎から針を刺し、髄液を30mlほど抜く検査です。歩きにくさの改善を認めた場合は正常圧水頭症の可能性が非常に高くなります。

治療

 治療は手術が中心です。残念ながらお薬での改善は乏しいです。

 手術の内容は、脳室腹腔シャントというものが多く行われています(2)。頭からおなかにかけて、髄液を流すためのチューブを体内に留置します。約1週間程度の入院が必要です。

脳室腹腔シャント

V:脳室 P:腹腔 引用(2)

治療

 正常圧水頭症が注目されているのは、治療により改善が高い確率で見込めるためです。早期診断、治療を行うほうが、歩行障害や認知機能が改善しやすいというデータがあります(引用(3))。

引用

  1. 神経心理学 36;109-118,2020
  2. 日内会誌 100:3640~3648,2011
  3. Vakili S, Moran D, Hung A, Elder BD, Jeon L, Fialho H, Sankey EW, Jusué-Torres I, Goodwin CR, Lu J, Robison J, Rigamonti D. Timing of surgical treatment for idiopathic normal pressure hydrocephalus: association between treatment delay and reduced short-term benefit. Neurosurg Focus. 2016 Sep;41(3):E2. doi: 10.3171/2016.6.FOCUS16146. PMID: 27581314.